ゆうれい読書通信

幻想文学、ミステリ、SFなど

国内

高山 宏 殺す・集める・読む / 小栗 虫太郎 黒死館殺人事件

高山 宏 殺す・集める・読む殺す・集める・読む―推理小説特殊講義 (創元ライブラリ) ホームズ、チェスタトン、クリスティらの錚々たる作品に文化史的視点から新たな光をあてるミステリ論。たとえばホームズを世紀末的感性から見つめ直した時、彼らの華麗な冒…

きっとあなたは、あの本が好き。 / ステファン・グラビンスキ 芝田 文乃訳 動きの悪魔

きっとあなたは、あの本が好き。 都甲 幸治 , 武田 将明 , 藤井 光 , 藤野 可織 , 朝吹 真理子他きっとあなたは、あの本が好き。連想でつながる読書ガイド (立東舎) 春樹、アリス、ホームズなどキャッチーな切り口から、それぞれ担当の三人が連想から色々な…

安部 公房  燃えつきた地図

安部 公房 燃えつきた地図燃えつきた地図 (新潮文庫) 失踪した男の調査を依頼された興信所の職員のぼく。男の妻である依頼人の妻からは確たる話を引き出せず、わずかな手がかりを追っていくも、見当違いの方向に引き回されるばかり。いつしかぼくはぼく自身…

稲生 平太郎  アムネジア

稲生 平太郎 アムネジアアムネジア 1つの死亡記事に興味を持ったことから謎の巨大闇金融、永久機関、かみのけ座、いつかのお茶会のチョコレート・ケーキ、殺人諸々が織りなす甘く残酷な非日常に絡め取られていく僕。読み進めるうちに自分の足元もぐらついて…

多田 智満子  鏡のテオーリア

多田 智満子 鏡のテオーリア鏡のテオーリア (ちくま学芸文庫) 鏡をめぐる哲学エッセイ。古今東西の該博な知識をもとに、あくまでも軽やかに展開される文章の心地よさ。日本の宗教と鏡の縁の深さなんて、なぜか全く意識してなかったので新鮮だった。 また、鏡…

池澤 夏樹 ハワイイ紀行 / 大竹 伸朗 カスバの男―モロッコ旅日記

池澤夏樹 ハワイイ紀行ハワイイ紀行 完全版 (新潮文庫) ハワイの歴史、食べ物、言語、サーフィンなど幅広く取り扱っていて、ちょっと教科書に掲載されてそうな雰囲気ではあるけれど、ハワイは美しいだけの島ではなく戦いの歴史(と現在)を持っていることを…

中野 美代子  カスティリオーネの庭

中野美代子 カスティリオーネの庭カスティリオーネの庭 円明園の西洋庭園にある、十二支像を擁する時計じかけの噴水の裏から白骨死体が発見された。その西洋庭園を設計したのは清の乾隆帝に宮廷画家として仕えるイエズス会の宣教師カスティリオーネ。彼が西…

一言感想まとめ

池澤春菜 乙女の読書道乙女の読書道 翻訳SF、ファンタジーに特化したレビュー集。何というかこってりがっつりなセレクトですね。意外にジャンルかぶってるようでかぶってなかったため、未読の作品が多く勉強になった。ダイアナ・ウィン・ジョーンズとウッド…

一言感想まとめ

キャサリン・マンスフィールド マンスフィールド短篇集マンスフィールド短編集 (新潮文庫) みずみずしい文章と感性にゆらゆら揺れる。その揺らぎは時に幸せのさなかから死や絶望、容赦の無い現実へとも大きく振れ、ざくりと心をえぐっていく。逆もないわけで…

一言感想まとめ

セシル=デイ・ルイス オタバリの少年探偵たち オタバリの少年探偵たち (岩波少年文庫) 第二次世界大戦直後のイギリス、空き地で二組に分かれて戦争ごっこをしていた少年たち。彼らが仲間内の一人のためにかせいだお金が忽然と消え失せ、嫌疑が片方のグループ…

佐藤 亜紀  鏡の影

佐藤亜紀 鏡の影鏡の影 (講談社文庫) 世界を変える一点を探すため、旅に出た異端の学僧ヨハネス。俗物ばかりの世界を転がり落ちていくうち、自身も堕落し、とある美少女に惚れたのをきっかけにシュピーゲルグランツと名乗る美しい悪魔と契約を交わしてしまう…

カレル・チャペック 園芸家12ヶ月 / 吉田 篤弘 パロール・ジュレと魔法の冒険

カレル・チャペック 園芸家12ヶ月園芸家12カ月 (中公文庫) なぜか小説には手を付けずエッセイばっかり買ってるチャペック。皮肉なユーモアが読んでいて落ち着くもので…この本も期待に違わず楽しく読んだ。園芸家(というか園芸マニア)とはいかに滑稽なもの…

一言感想まとめ

西崎憲 世界の果ての庭世界の果ての庭 (ショート・ストーリーズ) (創元SF文庫) 幾つかの物語の断片が交互に描かれ、ゆるやかにつながり、しかし収束はしない。幾つものルーム(区画)が連なる庭を逍遥する心地。虚実も時空も宙ぶらりんな中を漂う快楽は何だ…

佐藤 亜紀  バルタザールの遍歴 /  天沢 退二郎  光車よ、まわれ!

佐藤 亜紀 バルタザールの遍歴バルタザールの遍歴 (文春文庫) ひとつの体に双子の精神を持ったウィーン没落貴族、バルタザールとメルヒオールの遍歴の物語。 20代で書かれたとは思えない文章力と知識量。大戦前のヨーロッパが舞台だけど、翻訳小説と言われた…

高橋 源一郎 さようなら、ギャングたち / ジャネット・ウィンターソン 灯台守の話

高橋 源一郎 さようなら、ギャングたちさようなら、ギャングたち (講談社文芸文庫) 真摯に生み出される冗談のような言葉。はじめはあーブローティガンだなーとか苦手なタイプかもとか思いながら読んでいたのが、段々頭の中が静かになった。分からないけどえ…

巖谷 國士 シュルレアリスムとは何か

シュルレアリスムとは何か (ちくま学芸文庫) 著者が実際におこなった講義を書き起こしたものなので、非常に読みやすく分かりやすい。あれ、私実はそこまであほじゃなかったかもしれない、と錯覚しかけた。シュルレアリスムって何となくイメージはあるけど実…

光嶋 裕介 幻想都市風景 / ジョン・クロウリー エンジン・サマー

光嶋 裕介 幻想都市風景幻想都市風景 珍しく画集など。人の気配があまりしない都市・建築の絵は好き。まわりに生きた他人がたくさんいるのは煩わしいが、全く人の手が入っていない自然の中は不安・寂しい、というダメっぷりを許容してくれますし…。 この『幻…

一言感想まとめ

ウィリアム・アイリッシュ 『幻の女』幻の女 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 9-1)) 適度な緊迫感とスピードで読ませる、お手本のようなストーリー展開。よく出来たサスペンスミステリです。しかし今この作品が評価され続けているのは、プロットの面だけではな…

夢野久作 ドグラ・マグラ / パーシヴァル・ワイルド 悪党どものお楽しみ

ドグラ・マグラ ぐっと引きずり込まれる冒頭部から、独特の言葉遣いと擬音語の多さが生むリズム感と、事件の真相がいつ明かされるかへの興味が先へ先へと引っ張っていってくれます。奇書やら読んだら気が狂うやら言われている作品ですが存外リーダビリティい…

一言感想まとめ

アガサ・クリスティ ゼロ時間へゼロ時間へ (クリスティー文庫) 殺人が起こる決定的な「ゼロ時間」。その前には様々な出来事が積み重なった結果、その瞬間へつながっていくはず。その過程を描くミステリが本作、ということになります。クリスティの他の作品で…

一言感想まとめ

ジェラール・ド・ネルヴァル 火の娘たち火の娘たち 各短編の題名が女性名ばかりなのからも分かるように、基本主題は失われた恋で、一見ごく素朴なロマンスで構成されているように見えるけど…。「シルヴィ」や「コレッラ」の印象に引きずられているのかもしれ…

安房 直子  白いおうむの森 / まよいこんだ異界の話(安房直子コレクション4)

白いおうむの森―童話集 (偕成社文庫) 甘く美しく、そして怖い童話集。作者の描く異界は夢のように優しいがゆえに不穏だ。くるくると反転する内と外(地下に広がる森、部屋のなかの野原、たもとの中のミニチュア世界、大女のスカートのひだの中に広がる風景)…

南條 竹則   怪奇三昧 英国恐怖小説の世界

怪奇三昧 英国恐怖小説の世界 南條竹則さんによる怪奇・幻想文学のブックガイド。『恐怖の黄金時代』に加筆+新原稿を加えたものだそうな。紹介されている作家はブラックウッド、マッケン、ラヴクラフト(ダンセイニ)、M.R.ジェイムズ、メイ・シンクレア、M…

殊能 将之  美濃牛 / 黒い仏 / 鏡の中は日曜日

美濃牛 (講談社文庫) 初殊能将之。美濃の山奥、病を癒やす奇跡の泉があるという鍾乳洞と、その地主一族をめぐる連続殺人事件。タイトルの美濃牛はミノタウロス、事件の起こる暮枝はクレタ、ヒロインの窓音はマドンナ+アリアドネ、と露骨にギリシャ神話モチ…

綾辻 行人 十角館の殺人

(講談社文庫)" title="十角館の殺人 (講談社文庫)" width="115" height="160" border="0" />十角館の殺人 (講談社文庫) 館シリーズ、今回初めて読んだ。海外ミステリも知らない作品いっぱいあるのだけど、国内ミステリはそれ以上に読んでない。未知の大陸で…

吉屋 信子 わすれなぐさ / ジョン・ファウルズ マゴット

わすれなぐさ (河出文庫) 女学生三人の友情の行方を描く少女小説。昭和初期の作品なので大正浪漫の香りが。少し擬似恋愛めいた雰囲気を漂わせる人間関係がおいしいです。ありがとうございます。 キャラクターとしてはやっぱり陽子ちゃんの自由奔放ぶりに目を…

一言感想まとめ

ジョージ・オーウェル 一九八四年 一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫) いつか読もうと思いつつずるずると先延ばしにしてたのをようやっと読んだ。希望のないストーリーながらシンプルな構成と筆致は思いの外読みやすい。特に第三部~ラストはそれまで淡々…

庄野 潤三 陽気なクラウン・オフィス・ロウ

陽気なクラウン・オフィス・ロウ (講談社文芸文庫) 半分はイギリス滞在について、半分はチャールズ・ラム(とその著作のエリア随筆)についての紀行文学。あまりあらすじとか確認せず、イギリス旅行記のつもりで借りてきたのでラムについての記述の多さには…

田中ロミオ 人類は衰退しました④ / 小田雅久仁 本にだって雄と雌があります

人類は衰退しました 4 (ガガガ文庫) 3巻はちょっと気が滅入りそうだったので飛ばして先に4巻。気力が復活したら3巻も読むから…回復する見通しはたってないというか気力がないのが平常だけど… 4巻は気楽に読むのにうってつけ。「妖精さんの、ひみつのこう…

津原泰水 ルピナス探偵団の憂愁 / 皆川博子 倒立する塔の殺人

ルピナス探偵団の憂愁 (創元推理文庫) ルピナス探偵団二作目。これを読みたいがために当惑(前作)を買ったクチです。ジュブナイルらしい「当惑」にくらべ、「憂愁」は戻らない青春の回想という切なさが全編に満ちていてまた趣が違う。冒頭である登場人物の…

一言感想まとめ

小沼丹 『黒いハンカチ』黒いハンカチ (創元推理文庫) 若い女学校の教師ニシ・アズマがその観察眼と機転で小事件を解決するミステリ短篇集。上品な茶目っ気と静謐さをゆるゆると楽しむ。ミステリというよりも小沼丹の語りの魅力を目当てに買ったのだが、ミス…

由良君美 椿説泰西浪曼派文学談義 (平凡社ライブラリー)

椿説泰西浪曼派文学談義 (平凡社ライブラリー) 読了日:2/23 知識の乏しい私には名前しかしらんレベルの人がいっぱい出てきてあっぷあっぷ(特に絵画・音楽についてはお手上げ)、ではあったものの小気味いい文章のおかげで読み通せた。浪漫派の夢、ユートピ…

一言感想まとめ

ショーン・タン 『アライバル』アライバル 読了日:1/27字のないモノクロの絵本。ひとり異国に移住してきたお父さんが少しずつ異文化に溶けこみ生活していく様子を描く。異国の描写がわくわくする。 クラフトエヴィング商會 『らくだこぶ書房21世紀古書目…

津原泰水 ルピナス探偵団の当惑

ルピナス探偵団の当惑 (創元推理文庫) 読了日:1/26 仲良し女子高生トリオ+男子高校生の四人組、ルピナス探偵団が解き明かす青春ミステリー。出だしこそとてもジュブナイルな感じですが、謎は結構本格的。一話目は「なぜ犯人は冷めたピザを食べて帰ったのか…

牧野信一 風媒結婚 (日本幻想文学集成)

本・雑誌牧野信一 風媒結婚 (日本幻想文学集成) 読了日:2/12 センター現文で話題になってたマキノさん。といってもこの本には出題された「地球儀」ははいってませんが…岩波の『ゼーロン・淡雪』だけ以前に読んだことがあって、日本の土俗的な情景の中にふら…

一言感想まとめ

まとまった感想を書くタイミングを逃してしまった本たちの一言感想。面白くなかったわけでは全くなく、むしろ面白かった作品ほど感想書くのに困ることがある… 妖魔の森の家 (創元推理文庫―カー短編全集 (118‐2))読了日:12/6評判の高い表題作は、カーらしい…

田中ロミオ 人類は衰退しました2

人類は衰退しました 2 (ガガガ文庫) 内容紹介 わたしをすくう?? スプーンとバナナ。わたしたち人類がゆるやかな衰退を迎えて、はや数世紀。すでに地球は“妖精さん”のものだったりします。そんな妖精さんと人間との間を取り持つのが、国際公務員の "調停官"で…

大阪圭吉 とむらい機関車

とむらい機関車 (創元推理文庫) 内容紹介 名作の誉れ高い表題作を劈頭に、シャーロック・ホームズばりの叡智で謎を解く名探偵青山喬介の全活躍譚など九編に併せて「連続短回顧」ほかのエッセイを収める。初出時の挿絵附。収録作品 とむらい機関車/デパート…

佐藤亜紀 天使

天使 (文春文庫) 内容(「BOOK」データベースより) 第一次大戦前夜、天賦の“感覚”を持つジェルジュは、オーストリアの諜報活動を指揮する“顧問官”に拾われ、その配下となる。混迷の欧州で繰りひろげられる、“選ばれし者たち”の闘いの結末は!?堕天使たちのサ…

田中ロミオ 人類は衰退しました 1

人類は衰退しました 1 (ガガガ文庫) 内容(「BOOK」データベースより) わたしたち人類がゆるやかな衰退を迎えて、はや数世紀。すでに地球は“妖精さん”のものだったりします。平均身長10センチで3頭身、高い知能を持ち、お菓子が大好きな妖精さんたち。わた…

日本探偵小説全集10 坂口安吾集

日本探偵小説全集 (10) (創元推理文庫 (400‐10)) 出版社/著者からの内容紹介 戦時中、犯人当てゲームに熱中し、古今東西の探偵小説を読破していた安吾が、満を持して発表した『不連続殺人事件』は、読者に挑戦した堂々たる本格巨編である。さらに結城新十郎…

バチカン奇跡調査官 血と薔薇と十字架

バチカン奇跡調査官 血と薔薇と十字架 (角川ホラー文庫) 内容(「BOOK」データベースより) 英国での奇跡調査からの帰り、ホールデングスという田舎町に滞在することになった平賀とロベルト。ファイロン公爵領であるその町には、黒髪に赤い瞳の、美貌の吸血…