ゆうれい読書通信

幻想文学、ミステリ、SFなど

幻想

W.B.イエイツ ケルトの薄明

ケルトの薄明 (ちくま文庫) イエイツが集めたケルトの伝承などを、イエイツ自身が書き記したもの。完全なフィクションではなく、実際に起こったと言われている不思議な話(もしくはそれを語り継いだもの)といったものが多くおさめられている。そのせいか、…

ジュール・シュペルヴィエル 海の上の少女

海の上の少女―シュペルヴィエル短篇選 (大人の本棚) 不思議な光をたたえるシュペルヴィエルの短篇集。強いて言うなら童話に近い雰囲気の作品が多いが、その喪失感とさみしさは透明ではあるものの子どもが読むにはほろ苦い。 シュペルヴィエルは二つの祖国、…

一言感想まとめ

アンナ・カヴァン 『アサイラム・ピース』アサイラム・ピース カフカを思わせる不条理と不安、寄る辺のなさ。悲鳴になる一歩手前の、それでも抑えながら語る声を美しいといっていいものかどうか。装丁は文句無しに美しいが。カフカにはユーモアのクッション…

一言感想まとめ

小沼丹 『黒いハンカチ』黒いハンカチ (創元推理文庫) 若い女学校の教師ニシ・アズマがその観察眼と機転で小事件を解決するミステリ短篇集。上品な茶目っ気と静謐さをゆるゆると楽しむ。ミステリというよりも小沼丹の語りの魅力を目当てに買ったのだが、ミス…

一言感想まとめ

アントニイ・バークリー 『第二の銃声』第二の銃声 (創元推理) (創元推理文庫) 読了日:1/3 これまたおもしろかった。色々とにやにや。郊外の邸宅で招かれていたお客さんたちの余興の最中に事件発生、という古き良き英国ミステリを楽しんでいたと思ったら終…

牧野信一 風媒結婚 (日本幻想文学集成)

本・雑誌牧野信一 風媒結婚 (日本幻想文学集成) 読了日:2/12 センター現文で話題になってたマキノさん。といってもこの本には出題された「地球儀」ははいってませんが…岩波の『ゼーロン・淡雪』だけ以前に読んだことがあって、日本の土俗的な情景の中にふら…

カルロス・フエンテス 誕生日

誕生日 内容(「BOOK」データベースより) 過去でありながら、未来でもある混沌の現在―螺旋状の時間。家であり、町であり、一つの世界である場所―流転する空間。自分自身であり、同時に他の誰もである存在―互換しうる私。目眩めく迷宮の小説。『アウラ』をも…

レオ・ペルッツ 夜毎に石の橋の下で

夜毎に石の橋の下で 内容説明 1589年秋、プラハのユダヤ人街を恐るべき疫病が襲った。 墓場に現れた子供の霊は、この病は姦通の罪への神の怒りだと告げる。 これを聞いた高徳のラビは女たちを集め、罪を犯した者は懺悔せよと迫ったが、 名乗り出る者はなかっ…

コルタサル 遊戯の終わり

遊戯の終わり (岩波文庫)内容(「BOOK」データベースより) 肘掛け椅子に座って小説を読んでいる男が、ナイフを手にした小説中のもう一人の男に背後を襲われる「続いている公園」、意識だけが山椒魚に乗り移ってしまった男の変身譚「山椒魚」など、崩壊する…

グアテマラ伝説集

グアテマラ伝説集 (岩波文庫)内容(「BOOK」データベースより) マヤの神話、インディオ世界への深い共感と愛惜をこめて書きあげられた、グアテマラのノーベル賞作家アストゥリアス(1899‐1974)による“魔術的リアリズム”の傑作。「「大帽子の男」の伝説」「「…