ゆうれい読書通信

幻想文学、ミステリ、SFなど

海外

ディケンズ ディケンズ短篇集

ディケンズ ディケンズ短篇集 ディケンズ短篇集 (岩波文庫 赤 228-7) 初ディケンズ。人間心理への関心をベースに、素朴な怪奇風味、ミステリ要素、コミカルさを混ぜ込んだ短篇集。長い作品が苦手な自分としては長編には手を出しづらいのでまず短編から…。デ…

一言感想まとめ

ロバート・ファン・ヒューリック 東方の黄金東方の黄金 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1804) ディー判事もの、時系列でいうと最初の事件。キャラの魅力はいうほど…だけどストーリー展開はこなれてるし、怪奇やら宗教やら陰謀やら盛りだくさんの割にさっくり…

マイケル・オンダーチェ 名もなき人たちのテーブル

マイケル・オンダーチェ 名もなき人たちのテーブル名もなき人たちのテーブル 11才の少年マイナは、客船オロンセイ号に乗り込みスリランカから英国へ向かう船旅に出る。オロンセイ号での彼の食卓は、キャッツテーブルと呼ばれる船長から一番遠い席であり、い…

アストリッド・リンドグレーン わたしたちの島で / ポール・ボウルズ モロッコ幻想物語

アストリッド・リンドグレーン わたしたちの島でわたしたちの島で (岩波少年文庫) 避暑地としてウミガラス島の古びた別荘を借りたメルケルソン一家と島の人々の過ごす日々を描いた児童文学。もともとテレビドラマの脚本として書かれたものだそうで、長編と連…

ヘンリー・ジェイムズ  ねじの回転 -心霊小説傑作選-

ヘンリー・ジェイムズ ねじの回転 -心霊小説傑作選- ねじの回転 -心霊小説傑作選- (創元SF文庫) 決して雇い主を煩わせない、という条件のもと田舎の館で兄妹の家庭教師の職を得た若い女性。子どもたちは天使のように愛らしかったが、館に出現する忌まわしい…

ジョン・スコルジー レッドスーツ

ジョン・スコルジー レッドスーツレッドスーツ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) 新米のダール少尉は旗艦イントレピッド号に配属されるが、そこでは数人の上級士官を除いたクルーの死亡率が異常に高く、他の乗組員も新米達に何かを隠しているようだった。ダール…

ジョーン・G・ロビンソン 思い出のマーニー

ジョーン・G・ロビンソン 思い出のマーニー新訳 思い出のマーニー (角川文庫) 学校にうまくなじめないアンナは、養母のはからいで田舎の海辺で早めの夏休みを過ごすことになり、そこで湿地の大きな館に住む少女マーニーと出会う。少女の一夏の不思議な友情と…

一言感想まとめ

キャサリン・マンスフィールド マンスフィールド短篇集マンスフィールド短編集 (新潮文庫) みずみずしい文章と感性にゆらゆら揺れる。その揺らぎは時に幸せのさなかから死や絶望、容赦の無い現実へとも大きく振れ、ざくりと心をえぐっていく。逆もないわけで…

ジョン・ファウルズ 魔術師 上・下

ジョン・ファウルズ 魔術師 上・下 魔術師〈上〉 (河出文庫) 魔術師〈下〉 (河出文庫) 恋人アリスンから離れるためにギリシャの島で英語教師として就職したイギリス人青年ニコラス。謎の老人コンヒスやまるで過去から抜け出してきたような美女との出会いから…

ピエール・シニアック ウサギ料理は殺しの味 / リンジー・フェイ ゴッサムの神々 上・下

ピエール・シニアック ウサギ料理は殺しの味ウサギ料理は殺しの味 (創元推理文庫) 車の故障でしばらく田舎町に滞在することになった私立探偵事務所の職員シャンフィエ。そこではレストランのメニューにウサギ料理が載ると若い女が殺される、という奇怪な事件…

テリー・ホワイト 真夜中の相棒

テリー・ホワイト 真夜中の相棒真夜中の相棒〈新装版〉 (文春文庫) ベトナム戦争での出来事をきっかけに共に生きるようになったジョニーとマック。借金を重ね否応なく殺し屋となった彼らは、とある手違いで刑事を殺してしまい、被害者の相棒の刑事に追われる…

フラン・オブライエン 第三の警官

フラン・オブライエン 第三の警官 第三の警官 (白水Uブックス/海外小説 永遠の本棚) 出版資金のために使用人と共謀して、とある金持ちの老人を殺した僕。隠した金庫を取りにその老人の家にもう一度忍び込んだところ、老人の亡霊に出くわし、そしていつの間に…

スティーヴ・ホッケンスミス 荒野のホームズ / 荒野のホームズ、西へ行く

スティーヴ・ホッケンスミス 荒野のホームズ荒野のホームズ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1814) 観察眼と推理力にすぐれ、ホームズを敬愛している無口な兄(この世界ではホームズは実在の人物になってる)と、しゃべり上手でちょっとお調子者の弟。洪水のた…

アントニイ・バークリー レイトン・コートの謎 / エドマンド・クリスピン 愛は血を流して横たわる

アントニイ・バークリー レイトン・コートの謎レイトン・コートの謎 世界探偵小説全集 36 レイトン・コートの主人スタンワース氏が書斎で額を撃ち抜かれて亡くなっているのが発見された。書斎は密室状態であったのと、彼がリボルバーを手にしていたことから…

ヘレン・マクロイ 小鬼の市 / マイクル・イネス ハムレット復讐せよ

ヘレン・マクロイ 小鬼の市 小鬼の市 (創元推理文庫) カリブの島国に駐在していたアメリカの新聞記者の死亡後、その業務を引き継いだフィリップ・スターク。前任者の死亡は単なる事故と見なされていたが、そうではなかった。前任者が遺したスクープの手がか…

一言感想まとめ

セシル=デイ・ルイス オタバリの少年探偵たち オタバリの少年探偵たち (岩波少年文庫) 第二次世界大戦直後のイギリス、空き地で二組に分かれて戦争ごっこをしていた少年たち。彼らが仲間内の一人のためにかせいだお金が忽然と消え失せ、嫌疑が片方のグループ…

魅力的な泥棒たち

最近泥棒ものを続けて読んだので。探偵以上にキャラクタの魅力が必要とされるジャンルだろうなぁ。 ローレンス・ブロック 泥棒は選べない 泥棒は選べない 小粋でスマートな泥棒紳士バーニィが依頼を受けて盗みに入った部屋では殺人事件が起こっていた。容疑…

アントニオ・タブッキ 夢のなかの夢

アントニオ・タブッキ 夢のなかの夢夢のなかの夢 (岩波文庫) 実在した芸術家たちが見たかもしれない夢を描いた短篇集。各話に彼らそれぞれの作品・生涯が織り込まれているものの、その不条理と浮遊感は実際の夢のよう。今はもういない人々が見た夢の世界を覗…

三谷 康之 イギリスの窓文化 / レイモンド・チャンドラー 雨の殺人者

三谷 康之 イギリスの窓文化イギリスの窓文化 イギリスの様々な窓について。その窓の出てくる文学や映画についての言及はあるものの、建築史的なことにはあまり触れず、エッセイ的なところがあってとても読みやすい。古典児童文学を思わせるような、落ち着い…

カレル・チャペック 園芸家12ヶ月 / 吉田 篤弘 パロール・ジュレと魔法の冒険

カレル・チャペック 園芸家12ヶ月園芸家12カ月 (中公文庫) なぜか小説には手を付けずエッセイばっかり買ってるチャペック。皮肉なユーモアが読んでいて落ち着くもので…この本も期待に違わず楽しく読んだ。園芸家(というか園芸マニア)とはいかに滑稽なもの…

イーヴリン・ウォー 愛されたもの / スティヴンソン 旅は騾馬をつれて

イーヴリン・ウォー 愛されたもの愛されたもの (岩波文庫) アメリカの葬儀産業界隈での奇妙な三角関係を描いたブラックユーモア小説。そのブラックさはかなりえげつないところもあるのだが、こうも抑制のきいたドライな筆致で書かれると優雅な印象さえ受ける…

マルセル・ブリヨン 砂の都

砂の都 ラマ教の壁画を探し求めていた考古学者は、突如激しい砂嵐に襲われ洞窟へ避難する。砂嵐が過ぎ去ったあと、洞窟からはい降りて行くと、そこは活気あふれる中世のオアシス都市だった。 読み終えて少し放心。これは好き。タイトルとは裏腹に、オアシス…

カレル・チャペック 北欧の旅 / ウォルター・デ・ラ・メア 死者の誘い

カレル・チャペック 北欧の旅北欧の旅―カレル・チャペック旅行記コレクション (ちくま文庫) イギリスだよりはエッセイに近いところがあった気がするが、この北欧の旅は船旅であるせいか旅行記らしくてわくわくする。永遠の黄昏の光、黒く古い森と花崗岩、そ…

高橋 源一郎 さようなら、ギャングたち / ジャネット・ウィンターソン 灯台守の話

高橋 源一郎 さようなら、ギャングたちさようなら、ギャングたち (講談社文芸文庫) 真摯に生み出される冗談のような言葉。はじめはあーブローティガンだなーとか苦手なタイプかもとか思いながら読んでいたのが、段々頭の中が静かになった。分からないけどえ…

ロブ=グリエ 消しゴム

消しゴム (光文社古典新訳文庫) 殺人の捜査のために派遣されたヴァラス、しかし遺体も犯人も見つからず、ろくな証人はいない、警察署長にもあまり相手にされない。ほしがっている高級消しゴムも見つからない。というなんとも悲しい状況のままぐるぐると街を…

光嶋 裕介 幻想都市風景 / ジョン・クロウリー エンジン・サマー

光嶋 裕介 幻想都市風景幻想都市風景 珍しく画集など。人の気配があまりしない都市・建築の絵は好き。まわりに生きた他人がたくさんいるのは煩わしいが、全く人の手が入っていない自然の中は不安・寂しい、というダメっぷりを許容してくれますし…。 この『幻…

R.A.ラファティ 昔には帰れない / L・T・フォークス  ピザマンの事件簿 デリバリーは命がけ

R.A.ラファティ 昔には帰れない昔には帰れない (ハヤカワ文庫SF) 初ラファティ。作品紹介によると「SF界のホラ吹きおじさんの異名を持つ鬼才ラファティ」だそうですが、この短篇集はそんなにSF分ないような。二部構成で、Ⅰ部とⅡ部では編者が違い、収録作品の…

アストリッド・リンドグレーン ミオよわたしのミオ

ミオよわたしのミオ (岩波少年文庫) おなじみの岩波少年文庫、思い返すと実際に子供のころに読んだ作品は意外に少ない。くまのプーさんやクローディアの秘密はよく読んだものですが、ドリトル先生やメアリー・ポピンズを読んだのは確か中学生になってからだ…

ウォルター・デ・ラ・メア 九つの銅貨

九つの銅貨 (福音館文庫 物語) 詩人であり、幻想文学の書き手であり、児童文学も多数のこしているウォルター・デ・ラ・メア。少し前に創元推理文庫の復刊フェアで『死者の誘い』が出てましたね。今積んでます。読むの楽しみ。 この『九つの銅貨』はジャンル…

グレッグ・イーガン 万物理論

万物理論 (創元SF文庫) 初イーガン。ハードSFって言うんでガチガチの理系よりSFなのかなと思っていたけど、人文学的な面もかなり強い。バイオテクノロジー、通信技術などのSFガジェットはあれこれと描かれるが、自己と世界の関わり、人間性という主題がはっ…