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ゆうれい読書通信

幻想文学、ミステリ、SFなど

オウィディウス 変身物語(上)


内容(「BOOK」データベースより)
古代ローマの天成の詩人オウィディウスが、ストーリーテラーとしての手腕を存分に発揮したこの作品には、「ナルキッソスとエコー」など変身を主要モチーフとする物語が大小あわせて250もふくまれている。さながらそれはギリシア・ローマの神話と伝説の一大集成である。ラテン語原典の語り口をみごとに移しえた散文訳。



読了日:10/2

 ギリシア神話の多数のエピソードが様々な形でつなげられ、ひとつの叙事詩を形成していてく様が面白い。多少強引なところもあるけど、これだけの挿話をくるくると三次元的につなげていく語りは見事。原文ではさらに韻もちゃんと踏んでるだろうし、日本語には訳せない修辞技法も多々あるだろうし…すごいなぁ。
 各エピソードは有名なものも多く、多少ギリシャ神話に興味があった程度の自分でも知ってる話がそこそこあってなじみやすかった。アポロンとダフネとか、ナルキッソスとか、墜ちたイカロスとか。訳文も平明なのでそんな気負わずに読める。そういえばナルキッソスの話、この変身物語では彼は恋した相手が自分だと気づいたことになってるんだな。私の中では知らずに死んだことになってた。知ってた方が葛藤の心理がおもしろい(不謹慎)けど、知らなかった方が話の結末としては好きかも。
 しかしこれだけ変身譚をずらりと並べられると、ギリシャ神話って変身してばかりだなぁと感心する。特に鳥にされた女性が多い。これらを素直に信じると自然の中には元人間がいっぱいいるってことになるが、なんか居心地悪くないか?むしろ寂しさがまぎれるのか?そこらへんギリシャの人はどう思ってたんだろうか。
 その他雑感。古代ギリシャでは嘆き悲しむ時に手で胸を叩くらしい。時には親子の情に打ち勝つこともあるくらい、姉妹兄弟間の情が強い。あと、古代から着飾らない男勝りな女性って需要あったんだな…処女性が強調されるからだろうか