ゆうれい読書通信

幻想文学、ミステリ、SFなど

ショーン・タン 遠い町から来た話


読了日:1/13

 絵本というには文章量が多い。絵本と短篇集の中間かな。いつかどこかで見た景色のような、白昼夢のような、ノスタルジーをかきたてる不思議なお話とイラストで構成されている。「エリック」のようにストレートないい話もあれば「記憶喪失装置」や「名前のない祝日」のようにほんの少し不気味な話もある。共通するのは、下手な喩えを使わせてもらえば、少し湿り気を含んだ初夏の夕暮れ前のような空気。ミヒャエル・ゾーヴァを思い出す。そういうのが好きな人にはたまらないと思う。「他にはない国」「ぼくらの探検旅行」「壊れたおもちゃ」が特に好きだな。