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ゆうれい読書通信

幻想文学、ミステリ、SFなど

ジャック・ルーボー 麗しのオルタンス


読了日:2/7


 平和な街に突如起きた奇妙な連続金物屋襲撃事件と、麗しきヒロインオルタンスと謎の青年の恋の行方…が一応あらすじではあるものの、ストーリーよりもその珍妙な語りを楽しむ小説。事件は起こってるものの解決にはさして熱はいってないので、普通のミステリとして読むと拍子抜けするかと思われます。
 読む前は表紙とかあらすじとかから軽妙でおされなミステリなのかなぁと淡い期待を抱いていたら、のっけからエロオヤジがエロい目で通りすがる観光客を観察しているところからはじまってて違う意味でさすがおふらんす!と感心しかけた。なぜ観光客がターゲットかというとパリっ子はそういったたぐいの視線に慣れててすきがないからだそうです。さすがおふらんす。軽妙かつお下品。しかしヒロインのオルタンスはパリっ子なのに相当すきだらけですよね…?ミニワンピなのにパンツはき忘れるわおまけにそれに気づくまでタイムラグあるわ…途中まで事件よりもその事のほうが謎だったのですが。
 しかしこのノーパンヒロインオルタンスちゃんもあけっぴろげでかわいいけれど、この小説の主人公は語りの文章それ自身。話がなかなか先に進まないわそのことについて言い訳をはじめてますます進まないわなどなど自由な語りっぷり。語り手と著者が別にいるみたいだけど、それぞれが別々に註をつけて喧嘩し始めたところは吹いた。訳者の註ものりのりですし。読者も口を挟んできます。メタメタですね。登場人物にも語りにも散々振り回されたあと、ああやっと(一応)収拾がついた…とひと安心するので読後感は爽やか。
ただ、人を食ったようなユーモアと悪ふざけの裏に、ミステリ的仕掛けがあるっぽい?若島先生や円城塔のおすすめ本だそうなので確かに一筋縄ではいかない何かがありそうな。自分にはさっぱりですが…以下ちょっとネタバレ



確かにオルセル教授は気の毒だし普通に考えたら犯人はピーッじゃないの、と思うけどそれじゃ単純すぎて…うーん。結局皇子の意図も不明だし螺旋のモチーフの意味するところも謎だしよく考えたら結構わからないところだらけ。気になるなぁ。