ゆうれい読書通信

幻想文学、ミステリ、SFなど

一言感想まとめ

 まとまった感想を書くタイミングを逃してしまった本たちの一言感想。面白くなかったわけでは全くなく、むしろ面白かった作品ほど感想書くのに困ることがある…



読了日:12/6

評判の高い表題作は、カーらしい怪奇的な雰囲気、多くの伏線、様々な要素がこめられた密度の高さにもかかわらずすっきりと読ませる傑作。何回読んでも感心させられそう。その他「赤いカツラの謎」も印象的だった。カーの短編ってどんな感じなのかなぁと思ってたけど、いいなぁ。


読了日:12/23

透明で簡潔な文章。しかし内容は濃く、読むのに時間がかかった。広く、そして彼方までしみとおるような視線の持ち主だと思う。中国あたりの旅行記が好き。


読了日:12/23

初バークリー。実験的、ひねくれてるというイメージがあってなんとなく敬遠してたのがあほらしい。おもしろかった。こんなに終始にやにやできるミステリもそうないのでは。


読了日:12/24

3つの中編からなり、どの話もミステリアスで魔術的。それぞれの話が交錯しつつおぼろげな全体像を示す。が、この作品の中心となるテーマはアイデンティティの不確かさであり、それぞれの語りの信頼性や時間軸もまた明確ではない。少なくとも入れ替わりが発生してるのは確か。そういう意味ではミステリ。難解なのは難解なんだけどページをめくる手は止まらない。再読したい。


読了日:12/27

零細人形店に持ち込まれる人形をめぐる物語たち。キャラも魅力的だし会話のセンスも素敵。主人公の澪さんかわいい。人の業の深さもかいまみえるけど、津原さん比でハートフルで人に薦めやすいかと。全体的にはミステリ系の作品が多い中、チェコの人形劇を扱った幻想的な「最終公演」が好き。