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ゆうれい読書通信

幻想文学、ミステリ、SFなど

スタニスワフ・レム  泰平ヨンの航星日記〔改訳版〕

感想 海外 SF



読了日:2/11

 宇宙を飛び回る泰平ヨンが巻き込まれたとかく珍妙なできごとをつづった日記、という体裁のユーモアSF連作短編集。レムはソラリスしか読んだことがなかったので、ユーモアSFといっても小難しいんだろ…と若干身構えながら読み始めた。が、はじめのうちは気楽に読めて拍子抜け。バカバカしく軽やか。泰平ヨンのキャラクターも、適度に熱気がありながらも適度に冷静なところもあり、英雄にしては人間臭い、と好感度高し。ゆるゆると楽しみながら読めた。はじめのうちは。
 読み進めるにつれ、その突き詰めすぎたロジックがもたらす(一般的人類から見れば)尋常じゃない生命観、宗教観が笑えなくなってくる。1話だけならのんきに笑えるスラップスティックも、積み重なるとだんだんホラーに思えてくるわけです。ユーモアの皮をかぶっていても、相当ハードなSFなのは間違いない。また序文によるとこの日記、一応本当らしいものをより抜いて編集してあるということで、メタ要素も有り。いつの間にか序文の存在を忘れてた私は最後の話であれ?あれ…?ってなりました。というか最後の話怖い。分からない。割りと分厚い作品だけど、中身はそれ以上にボリュームがあった。