ゆうれい読書通信

幻想文学、ミステリ、SFなど

一言感想まとめ

アントニイ・バークリー 『第二の銃声』


読了日:1/3

 これまたおもしろかった。色々とにやにや。郊外の邸宅で招かれていたお客さんたちの余興の最中に事件発生、という古き良き英国ミステリを楽しんでいたと思ったら終盤二転三転してあれれれな展開に。冴えない上に当初はなんかこじらせてる感ありありの語り手のキャラもよろしい。そして一応探偵役のシェリンガムさんはほんともうね…まぁ実際素人探偵なんてものがいたらこんな感じだったかもしれんね…。その他キャラの造形が某女史ぽかったのはやっぱ狙ってるのかなー。それとも単にこの時代のテンプレ?


フェリペ・アルファウ 『ロコス亭』


読了日:1/5

 時代が時代なので今となっては煽られてるほどの奇抜さは感じないけど、エピソードの面白さは色褪せない。自在に動きまわるキャラクターたちの生き生きとした魅力も。はじめの方のからりとした芝居めいた作風から、最後はしっとりと叙情的に終わったのが印象的。



ジョン・ディクスン・カー 『曲がった蝶番』


読了日:1/6

 評価が分かれる作品らしい。私は好きです。動機とトリックに軸があるのでカーにしてはすっきり読めるし、ストーリーテリングはカー作品の中でも素晴らしいのでは。どちらが本物のジョン・ファーンリー卿なのか?でひっぱっていたテンションは殺人のあとも衰えず、不気味な自動人形などお得意の怪奇趣味もまじえてどんどん深みにはまっていく。トリックもカーならでは。他の本、それも長編でこのトリックが使われてたらもうあれよね気分は右の本格派みたいな。ちょっと盛った。しかしこの作品では怪奇的な雰囲気とイメージの強烈さゆえに鮮やか。