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ゆうれい読書通信

幻想文学、ミステリ、SFなど

W.B.イエイツ ケルトの薄明


 イエイツが集めたケルトの伝承などを、イエイツ自身が書き記したもの。完全なフィクションではなく、実際に起こったと言われている不思議な話(もしくはそれを語り継いだもの)といったものが多くおさめられている。そのせいか、民話に見られるよく言えば荒々しい力、悪く言えば粗暴さといった要素が薄く、神秘と哀しみが感じられて好きです。オチや教訓は薄いし、イエイツ自身が(当時は)霊的なものを信じていたようなのでちょっとオカルティックなところもあり、そういうのが苦手な人は注意ですが。題名のとおり、霧が漂うケルトの森の薄明のなかをかすかな光に導かれてさまようような、そんな感覚です。
 印象に残ってるのは、どんな種族の妖精にも「女王と道化」がいて、彼らにうたれたものは救えないという話。女王はともかく道化については聞いたことがなかった。それから「神々の豚」の話。豚に追っかけられて怖くなった、というものすごく他愛のない話なんだけどなんだか奇妙な味で。