ゆうれい読書通信

幻想文学、ミステリ、SFなど

ケイト・アトキンソン 世界が終わるわけではなく / カルロス・ルイス・サフォン 天使のゲーム 上・下



 ギリシャ神話やポップカルチャーを下地に、人生の生々しさや苦さが織り交ざるシュールでふわふわした短編たち。ケリー・リンクやケヴィン・ブロックマイヤーと似た系統の作品ですね。読み終わってみると、「世界が終わるわけではなく」というタイトルの終末感と楽天観のバランスは絶妙だなぁ。終末は見えているけれど、どこか諦めた明るさでそれを受けとめる態度には清々しさも感じるもののどこか哀しい。

「シャーリーンとトゥルーディのお買い物」「魚のトンネル」「テロメア」「不協和音」「大いなる無駄」「予期せぬ旅」「ドッペルゲンガー」「猫の愛人」「忘れ形見」「時空の亀裂」「結婚記念品」「プレジャーランド」






 ”忘れられた本の墓場”シリーズ?第二部。かなりおぼろげな記憶を掘り返すと、前作の『風の影』の方がおもしろかったような。あれ読んだのは高校の頃の話なので、今読むと感想変わってる可能性大だけども。ちなみに前作は読まなくても大丈夫です。
 主人公の人生は浮き沈みを繰り返しつつずるずると破滅に向かっていくのだが、長めの作品なだけにその上がり下がりの周期が単調というか分かりやすいのがちょっとだれた。ずっと波型のジェットコースターに乗ってる感じで。たまには一回転とかしないかなぁと…いや、最後にあったか。
 主人公が好みではなかったので例によってちょっと点が辛いです。イサベッラはかわいかったけど。「~ですよ」以外の「~よ」や「~わ」の語尾を使わないように翻訳されてるためちょっと独特の口調になってて、でもそれが清潔感あってかわいかった。