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ゆうれい読書通信

幻想文学、ミステリ、SFなど

殊能 将之  美濃牛 / 黒い仏 / 鏡の中は日曜日

感想 ミステリ 国内



殊能将之。美濃の山奥、病を癒やす奇跡の泉があるという鍾乳洞と、その地主一族をめぐる連続殺人事件。タイトルの美濃牛はミノタウロス、事件の起こる暮枝はクレタ、ヒロインの窓音はマドンナ+アリアドネ、と露骨にギリシャ神話モチーフが見られる一方で、一族の奇妙な関係であったりわらべ唄の見立てであったりはいかにも国内ミステリっぽくて心ときめきますね。多量の引用もそれっぽい。でもくどくないどころか妙にとぼけた感じがするのがこの人の持ち味なのかなぁ。
 分厚い本だけど、よくも悪くも長さを感じさせない。起伏が激しいわけでもなく、むしろのんびりした印象なのに…謎だ。




 石動シリーズ二作目。もう何を書いてもネタバレになる気がする。最後の一行の壮大さにはわらった。あと繰り返されるダイエーネタ。いざゆーけー!




 石動シリーズ三作目。これが読みたかったのです。マラルメをからめ、ケルベロス第五の首が下敷きになっていると聞いて、期待値をかなりあげていた。ただ、前二作読了後はある程度作者の作風も見えてきたので少々修正。衒学的な部分はあるものの、メタな視点を感じるしちょっと抜いた軽さがあって、どっぷり雰囲気にひたるものではないなぁと。このライトさのおかげで一気に読めてしまうというのはあるんだけど。
 さて、二作目の予想外っぷりにちょっと不安になってたけど、これは本格ミステリに戻してきた感じ。3つの中では一番好きだな。マラルメの詩のかっこよさがかなり点数を上げている気がするが。ケルベロスっていうのはそういうことか。石動さんはどんどんへたれもといかわいくなってますね。