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ゆうれい読書通信

幻想文学、ミステリ、SFなど

ミハル・アイヴァス もうひとつの街 / セバスチャン・ジャプリゾ シンデレラの罠

感想 海外 幻想 ミステリ


 プラハの古書店で手にとった本には見たこともない文字が書かれていた。その本を購入して以降、主人公はプラハの街の不思議なもう一面を見ることになる。古風なファンタジーを思わせる滑り出しだけど、繰り出されるイメージと文章はかなりシュルレアリスム。転がり飛躍する奇妙な言葉の連なりは自動筆記を思わせる異質さ。しかし、地下の奇妙な集会、ガラスの彫像のなかで泳ぐ色とりどりの魚達、鐘楼の回廊の闇にあらわれるサメ、といったもうひとつの街のイメージ自体は奇妙ではあるものの懐かしい。わけがわからないなりに妙に落ち着く世界。理解の拒否は一種の安らぎであるのかも。圧巻はやはり図書館の奥に広がるジャングル探索。
 イメージと言葉の乱れ打ちな作品だけど、思索的な要素もあって最後は意外とおさまるところにおさまります。



 大富豪のミドラ伯母さんには三人の少女、ミとドとラがいました。ラは早くに死にました。ドは頭がいいですが、伯母さんに可愛がられていたのは美しいミ。そして成長したドとミは火事にあい、一人は死亡、一人は重傷を負います。ミは伯母さんの遺産を相続することになっていました。
 火事で顔を焼かれ整形し、記憶も失った語り手の私。私はミなのかドなのか?火事は事故だったのかそれとも?「私」自身が自分について何も分からないまま話は進んでいき、最後には真相が判明した…かのように思われるけれど解説を読むとまた考えこんでしまう。一種のリドルストーリー的なミステリ。ストーリーの面白さはもちろん、女性たちの関係が同性愛めいたもつれ方をしていて、それがまた謎めいた雰囲気を生み出している。