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ゆうれい読書通信

幻想文学、ミステリ、SFなど

ウォルター・デ・ラ・メア 九つの銅貨

感想 海外 児童文学


 詩人であり、幻想文学書き手であり、児童文学も多数のこしているウォルター・デ・ラ・メア。少し前に創元推理文庫の復刊フェアで『死者の誘い』が出てましたね。今積んでます。読むの楽しみ。
 この『九つの銅貨』はジャンルでいうと児童文学。といっても、幻想文学の詩情と描写の繊細さを持つ民話と言った風情のどことなく物悲しいお話は、年齢にかかわらず魅了される人は魅了されるのでは。霧にひたされたような穏やかさと静かさ。難解さはないけれど、なぜか作品世界を完全には掴みきれないさみしさと、その一種の神秘性に幻惑される感じも好きです。あと、出てくる人々は善人ばかりではないけれど、デ・ラ・メアの視線はどの人にも穏やかに注がれているのを感じる。
 好きなのはやはり「九つの銅貨」と「魚の王さま」かな。比較的お話らしいお話の二編。特に「九つの銅貨」はデ・ラ・メアの幻想イメージ、描写の美しさを存分に味わえる。細やかな描写はデ・ラ・メアの特徴らしく、どの話も特に自然の描写が美しいです。緑薫る美しいイギリスの村々が目に浮かんでくるよう。しかしストーリーは穏やかで突飛さがあるわけではないし、描写も落ち着いた丁寧さなのに、 この不思議な感覚はなんだろう。

チーズのお日さま 九つの銅貨 ウォリックシャーの眠り小僧 ルーシー 魚の王さま