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ゆうれい読書通信

幻想文学、ミステリ、SFなど

カレル・チャペック 園芸家12ヶ月 / 吉田 篤弘 パロール・ジュレと魔法の冒険

感想 海外 国内 エッセイ評論 幻想 ファンタジー


カレル・チャペック 園芸家12ヶ月


 なぜか小説には手を付けずエッセイばっかり買ってるチャペック。皮肉なユーモアが読んでいて落ち着くもので…この本も期待に違わず楽しく読んだ。園芸家(というか園芸マニア)とはいかに滑稽なものか、容赦なく書き連ねられているわけですが、その滑稽さは他のマニアにも共通するものがあるので親しみやすい。花よりも土づくりの方に熱中してるんじゃないか?と思えるところなんか、読書と積読に置き換えられそうな気がします。
 好きなのは雨の話。雨の音とにおいが紙面から漂ってくるよう。その他のページも、草樹のにおい、土のにおい、ひなたのにおいに満ちていて、読んでいて深呼吸したくなる本だった。



吉田 篤弘 パロール・ジュレと魔法の冒険


 「パロール・ジュレと紙屑の都」の文庫版。文庫化の際にタイトルが変更になったようですが、前の方が内容とはあってたんじゃないかな。紙魚=フィッシュという本に潜り込む特殊能力を持ったスパイが主人公の話であり、「魔法の冒険」と呼ぶにはちょっとハードボイルド調で、少し哀しい。あらすじはいかにも遊び心たっぷりで楽しそうだし、実際確かに吉田さんらしいふわふわ感(?)はあるんだけど。
 舞台は、行き場のない言葉が時に凍り、そして凍った言葉をとかしその声に耳を澄ます者がいるキノフという街。「つぶやき」という単語が多用されるのもあって、Twitterのことを連想したり。どこかで誰かが自分のとりとめもない言葉を読んでいてくれるかもしれないという希望は、今は手軽なものになったけれど、この環境はほんとありがたいことですね…。
 しかし、言葉のまわりをぐるぐる巡りつつ脱線していくあのスタイル、言葉へのとらわれ方が自分には少し息が詰まる時があるなぁ。