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ゆうれい読書通信

幻想文学、ミステリ、SFなど

スティーヴ・ホッケンスミス 荒野のホームズ / 荒野のホームズ、西へ行く

感想 海外 ミステリ ウエスタン

スティーヴ・ホッケンスミス 荒野のホームズ


 観察眼と推理力にすぐれ、ホームズを敬愛している無口な兄(この世界ではホームズは実在の人物になってる)と、しゃべり上手でちょっとお調子者の弟。洪水のために家も家族も失い、二人っきりの家族になった彼らは雇われカウボーイとして働いている。そんな中、新しく仕事を得た牧場で牛に踏みにじられた死体が発見され、兄は探偵として推理を始める…。
 素晴らしいエンタメ作品。なんかもうミステリ西部劇っていう設定だけでもお腹いっぱいな感じですが、文章もユーモアたっぷり、カウボーイのお仕事描写もしっかりしてて素晴らしい。謎解きもどことなくホームズを彷彿とさせて愛を感じる。あとはなんといっても主人公の凸凹兄弟コンビの魅力。どちらもとても根がまっすぐでかわいい。二人の関係の変化も見どころだったりします。いつも横にいる存在というだけでなく、互いの心の内をさらけだせる様になること、相棒として認め合えること。いやぁ兄弟兼相棒って素晴らしいですね。
 それと、兄弟の関係性ももちろん素晴らしいんですが寡黙で思案型の兄と関係者青年貴族(ひょろひょろおっとり)の関係もいいと思います。いや普通に読めば軽い友情のようなものでしかないけど。脇のキャラ描写もおざなりな感じがしないのが好印象。




荒野のホームズ、西へ行く


 荒野のホームズ二作目。今度は馬から降り、列車に乗り込む二人。何やら色々と様子のおかしい鉄道の旅の最中、手荷物係が殺された…。
 前作は舞台が固定かつ閉鎖的で中盤がスローペースだったため、ややまだるっこしいところもあったのが、今作は舞台が鉄道ということもあって一気にテンポアップ。前作よりさらにおもしろくなっている。ストーリーの展開のさせ方が大分こなれてきていて、鉄道という舞台のおいしさをめいっぱい使ってる感じ。前作の軽口の楽しさに加え、コミカルな場面自体も増えたような。小柄な兄と大柄な弟のトロッコ爆走シーンなんて某花札屋の兄弟が目に浮かぶようだ…。もちろん兄弟関係の進展もあって、そしてなぜか兄のヒロイン属性が強くなってます。それもこれも鉄道のおかげです。鉄道ばんざい。