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ゆうれい読書通信

幻想文学、ミステリ、SFなど

ラヴィ・ティドハー 完璧な夏の日(上・下)




ラヴィ・ティドハー 完璧な夏の日(上・下)


 第二次世界大戦前、突如現れた不老の超能力者達。彼らは超人と呼ばれ各国の軍部等に徴収されていた。その一人、かつて英国の情報部にいたフォッグは昔の相棒により元上司のもとへ呼びだされ、「夏の日」と呼ばれた少女をめぐる世界大戦当時の隠された過去を語らされる。
 2015年の本ベスト10冊にはいれなかったけれど、2015年最も印象的だった本はこれかもしれない。感情を揺さぶられるという点で。少し引いたところから見れば、超能力者という設定は一歩間違えば途端にチープになってしまうものだし、この作品も(意図的にしろそうでないにしろ)多少チープさは残っているし、キャラ付けも全体的には薄いように思う。SFとして何か新鮮さを感じたというわけでもないし。しかし最初から最後まで絶えずそこにある、ある特定の感情は私の個人的ドツボにはまり、読了直後はため息ばかりつくわ何を見ても切なくなるわ、という状況に陥った。最後の流れはほんとひきょうだと思います。いやまいりました。
 とまあ個人的には非常に感情面に訴える作品だったんだけど、ザッピングの多い形式、神でも常人でもなさそうな何やら謎めいた傍観者の視点の語りによって引き締められているところもいいですね。 他にも色々言いたいことはあるんだけれどネタバレやらグチやらになるのでひとまずここまでにしよう…。