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ゆうれい読書通信

幻想文学、ミステリ、SFなど

ミハル・アイヴァス著 阿部 賢一訳 黄金時代

感想 海外 幻想


ミハル・アイヴァス著 阿部 賢一訳 黄金時代


 前半は西洋文明とは全く異なる不思議な文化様式を持つ架空の島についての文化人類学的紀行文、後半はその島の唯一の芸術といえる「本」の一部の内容を記憶をもとに書き記したものという構成。流れ落ちる水の狭間に作られた垂直のヴェネツィアたる断崖の「上の町」、ヨーロッパ人達が数々の邸宅を建てたものの今は打ち捨てられている虚ろな港町「下の町」など、前半の島の描写は幻想的イメージにあふれていて好みです。ちょっと眠たいといえば眠たいですが悪くない眠たさだと思います。終わらない「本」の内容を一部記した後半は、螺旋状に物語が展開していきぐっと読みやすくはなるのだけれど、ちょっとパンチにかける印象。ダイオウイカのあれこれとか、現代が舞台のところとかは面白いのですが。私は短い話の方が好きなのでいかんせん長すぎた。構成とか語りをもっとこうなんとか…と思わんでもないのですがこの素朴さが魅力という気もするし。時間を気にせずゆったり読みたい。