読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ゆうれい読書通信

幻想文学、ミステリ、SFなど

ジッド 狭き門

感想 海外 恋愛


ジッド 狭き門



 幼い頃から互いに運命の人と認識しあっていたジェロームと従姉妹のアリサ。しかし、ジェロームが求婚してもアリサは拒むばかりで、二人の距離はどんどん遠ざかっていく。アリサは互いが高みに進むためには一緒にいることはできないと考えていたのだった。神へといたる狭き門は、二人並んではくぐれない…
 正直このあらすじ、自分はとても読む気がそがれるんですが未読の方は一度騙されて読んでほしいと思います。できれば一気読みおすすめ。途中はいろいろつらいんだけど終盤、特にラストシーンは非の打ち所がない。自分は中盤あたりでああこれだから恋愛小説は、と放り出しかけたものの、アリサの思いの吐露がはじまるその後半から彼女の悲痛さに目が離せなくなった。そして最後、短いシーンなんだけども、その表現の無駄の無さ美しさ。言葉にしがたい思いが浮かんでは形をなくし滲んでいく。
 しかしこの作品、愛と信仰の対立の物語と表現されているものの、結局のところ問題となっていたのはジェロームへの愛そのものだけだったように思える。解説によるとアリサの信仰の苛酷さは正統派キリスト教から逸れている様でもあるし、彼女の信仰はジェロームへの愛の逃げ口に見えた。身に余る愛の強さ美しさにおびえもがく様子は、自己中心的な面もあるにせよ、どうしようもなく痛ましいと思う。