ゆうれい読書通信

幻想文学、ミステリ、SFなど

池澤 夏樹 ハワイイ紀行 / 大竹 伸朗 カスバの男―モロッコ旅日記

池澤夏樹 ハワイイ紀行ハワイイ紀行 完全版 (新潮文庫) ハワイの歴史、食べ物、言語、サーフィンなど幅広く取り扱っていて、ちょっと教科書に掲載されてそうな雰囲気ではあるけれど、ハワイは美しいだけの島ではなく戦いの歴史(と現在)を持っていることを…

マイケル・オンダーチェ 名もなき人たちのテーブル

マイケル・オンダーチェ 名もなき人たちのテーブル名もなき人たちのテーブル 11才の少年マイナは、客船オロンセイ号に乗り込みスリランカから英国へ向かう船旅に出る。オロンセイ号での彼の食卓は、キャッツテーブルと呼ばれる船長から一番遠い席であり、い…

イーヴリン・ウォー 愛されたもの / スティヴンソン 旅は騾馬をつれて

イーヴリン・ウォー 愛されたもの愛されたもの (岩波文庫) アメリカの葬儀産業界隈での奇妙な三角関係を描いたブラックユーモア小説。そのブラックさはかなりえげつないところもあるのだが、こうも抑制のきいたドライな筆致で書かれると優雅な印象さえ受ける…

一言感想まとめ

西崎憲 世界の果ての庭世界の果ての庭 (ショート・ストーリーズ) (創元SF文庫) 幾つかの物語の断片が交互に描かれ、ゆるやかにつながり、しかし収束はしない。幾つものルーム(区画)が連なる庭を逍遥する心地。虚実も時空も宙ぶらりんな中を漂う快楽は何だ…

カレル・チャペック 北欧の旅 / ウォルター・デ・ラ・メア 死者の誘い

カレル・チャペック 北欧の旅北欧の旅―カレル・チャペック旅行記コレクション (ちくま文庫) イギリスだよりはエッセイに近いところがあった気がするが、この北欧の旅は船旅であるせいか旅行記らしくてわくわくする。永遠の黄昏の光、黒く古い森と花崗岩、そ…

カレル・チャペック イギリスだより / フランシス・アイルズ 殺意

イギリスだより―カレル・チャペック旅行記コレクション (ちくま文庫) 初チャペックが旅行記というのもどうなんだろうとちょっと思ったけど、おもしろかったので問題なし。ユーモアと愛情(そして皮肉)が詰め込まれた愛すべき作品。ロンドンや都市部について…

庄野 潤三 陽気なクラウン・オフィス・ロウ

陽気なクラウン・オフィス・ロウ (講談社文芸文庫) 半分はイギリス滞在について、半分はチャールズ・ラム(とその著作のエリア随筆)についての紀行文学。あまりあらすじとか確認せず、イギリス旅行記のつもりで借りてきたのでラムについての記述の多さには…

一言感想まとめ

まとまった感想を書くタイミングを逃してしまった本たちの一言感想。面白くなかったわけでは全くなく、むしろ面白かった作品ほど感想書くのに困ることがある… 妖魔の森の家 (創元推理文庫―カー短編全集 (118‐2))読了日:12/6評判の高い表題作は、カーらしい…