ゆうれい読書通信

幻想文学、ミステリ、SFなど

2013-09-01から1ヶ月間の記事一覧

夢野久作 ドグラ・マグラ / パーシヴァル・ワイルド 悪党どものお楽しみ

ドグラ・マグラ ぐっと引きずり込まれる冒頭部から、独特の言葉遣いと擬音語の多さが生むリズム感と、事件の真相がいつ明かされるかへの興味が先へ先へと引っ張っていってくれます。奇書やら読んだら気が狂うやら言われている作品ですが存外リーダビリティい…

一言感想まとめ

アガサ・クリスティ ゼロ時間へゼロ時間へ (クリスティー文庫) 殺人が起こる決定的な「ゼロ時間」。その前には様々な出来事が積み重なった結果、その瞬間へつながっていくはず。その過程を描くミステリが本作、ということになります。クリスティの他の作品で…

一言感想まとめ

ジェラール・ド・ネルヴァル 火の娘たち火の娘たち 各短編の題名が女性名ばかりなのからも分かるように、基本主題は失われた恋で、一見ごく素朴なロマンスで構成されているように見えるけど…。「シルヴィ」や「コレッラ」の印象に引きずられているのかもしれ…

アルジャーノン・ブラックウッド 人間和声 / ポール・ギャリコ 幽霊が多すぎる

人間和声 (光文社古典新訳文庫) 夢見がちな青年、スピンロビンは“勇気と想像力ある秘書求む。当方は隠退した聖職者。テノールの声とヘブライ語の多少の知識が必須”という謎の求人に応募し、山奥の屋敷に住み込むことになる。雇い主のフィリップ・スケール は…

アーシュラ・K. ル=グウィン   コンパス・ローズ

コンパス・ローズ (ちくま文庫) ル=グウィンのSFを読むのは二冊目。前に読んだのは『なつかしく謎めいて』。短篇集好きなのでつい短篇集に手を出してしまう。ハイニッシュサイクルもそのうち読まなくては。 この『コンパス・ローズ』は70年代あたりの作品が…