ゆうれい読書通信

幻想文学、ミステリ、SFなど

ヘレン・マクロイ 幽霊の2/3


読了日:1/14


 出版社社長宅で開かれたパーティで、幽霊の2/3というゲームをしている最中に人気作家が毒殺される。そのパーティに偶然出席していた精神科医が捜査を始めると、殺害された作家の謎が浮かび上がってきた…
 ヘレン・マクロイ二冊目。「暗い鏡の中に」はかなり幻想よりのミステリで、そのほのぐらい雰囲気が好きだったが、これはまっとうな?ミステリ。派手さはないものの、事件の様相が想像していたのとは違う展開を見せていくプロットは引きこまれる。誰が?どうやって?といった殺人そのものに関する謎には大して重点は置かれていないが、作品の中心となる仕掛けの伏線はしっかり張られていて上手いなぁと。真相に気づいたところで今までの描写を洗いざらい復習したくなった。出版業界で起こる殺人ということで、当時のアメリカ出版業界の内輪話的な描写が少々意地の悪いユーモアを込めて語られるのもおもしろい。それが単なる内輪話と見せかけて…というのもまたにくいな。
 そして不思議で魅力的な題名、読了してから見ると納得すると同時に切なさも感じる…