ゆうれい読書通信

幻想文学、ミステリ、SFなど

一言感想まとめ


ロバート・ファン・ヒューリック 東方の黄金


 ディー判事もの、時系列でいうと最初の事件。キャラの魅力はいうほど…だけどストーリー展開はこなれてるし、怪奇やら宗教やら陰謀やら盛りだくさんの割にさっくり読めるしいいエンタメ。中国風の挿絵もいい味出してる。



ディクスン・カー 死時計


 時計師の邸宅で、一人の浮浪者が殺された。殺された男のそばにはピストルを持った男と傍観者が一人いたが、凶器はその時計師の時計の針だった。
 冒頭部分は魅力的なんだけど中盤以降ちょっと停滞感が。あとこれは自分の問題なんだけど、館の構造等が頭に入らなかったのでヒロインまわりの昼ドラ的あれこれを追うだけで終わってしまった。



イエイツ  アイルランド童話集 隊を組んで歩く妖精達―其他


 イエイツが編んだアイルランドの民話集。ストーリー性のある話やユーモアのある話が多く、読みやすい。その分どこかで読んだことのある話も多いかな。全くの初見でおもしろかったのは踊るプディングの話、フィンのクーカリン(クーフーリン)退治など。前者は軽快なスラップスティックだし、後者は英雄としてそれはどうなんですかねぇ、な話でにやにや。



シャルル・バルバラ 赤い橋の殺人


 19世紀パリ、かつて貧乏だった友人クレマンが裕福になり社交的になったのを喜ぶマックス。しかしクレマン夫妻は何か重大な秘密を抱えているようだった。 
 大体何が起こったかは早いうちに分かるし、その当事者の性格描写が焦点となっているから、一種の倒叙ものとして読める。フランス版「罪と罰」という謳い文句どおり、神と良心の問題が描かれるのはかえって新鮮かもしれない。ただ、身振りが激しく芝居がかってるのがちょっと読みにくいかな。