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ゆうれい読書通信

幻想文学、ミステリ、SFなど

ヘレン・マクロイ 逃げる幻

感想 海外 ミステリ


ヘレン・マクロイ 逃げる幻




 休暇中にハイランド地方を訪れたダンバー大尉は、理由不明の家出を繰り返す少年について相談を受ける。しかもその少年は荒野の真ん中から突如消え失せたという。大尉は偶然家出しようとしている途中の少年と遭遇するが、その少年は異様におびえていた。その少年を観察しているうちに殺人事件が起きる。ウィリング博士シリーズの本格ミステリ
 この作品最大のポイントはハイランドを舞台にしていること、といっても過言ではないのでは。もともと情景描写が上手い作家という印象はあるけれど、この作品でもハイランドの荒野の空気感を存分に筆をふるって描き出してくれる。荒野の寂寞感と何かにおびえる少年がかもす不穏さ、そして大尉が何らかの密命を帯びているらしいこと、立ち込める霧のような冷たい緊張感がすばらしい。派手な作品ではないけれど一気読みしてしまった。