ゆうれい読書通信

幻想文学、ミステリ、SFなど

P.G.ウッドハウス エムズワース卿の受難録


内容(「BOOK」データベースより)
綿菓子のようなスローな頭脳を持つエムズワース伯爵の目下の関心は、ブタの飼育と、カボチャの品評会に優勝すること。なのに居城ブランディングズは本日も大騒動。不肖の息子・超頑固な庭師・妹たちとその娘たち…。老いた卿には心の休まる暇がない!ユーモア小説の巨匠ウッドハウスの、キュートなご主人受難録。全短篇収録。


読了日:9/21

 未読のウッドハウスだ!やったー!あれ、でもなんか読んだことあるかも?単行本版立ち読みしたっけ?と首を傾げつつ読んでたら、結構後半の方まで既視感があったのでおそらく未読ではなかった模様。でもウッドハウスはあの作品世界に浸るのが幸せなんだから未読既読はあまり関係ないさ…うん…
 姪だのなんだのの結婚話は上の空で聞き流しとんちんかんな受け答えをするが、豚の話や園芸の話になると嬉々として食いつくエムズワース卿がかわいらしい。さくっと現実逃避しちゃうところなんかもシンパシーを感じる。お友達になるには豚の話題を仕込まねばなるまいが。
 もう一つの有名シリーズ、バーティものと比べると、よりのびのびと書いてる印象を受ける。都会っ子の青年バーティの一人称語りより、田舎を舞台にした三人称のこちらのほうが書きやすかったのかなーとちょっと思った。私はバーティ好きだし、バーティもののテンポのいい語りの方が好みではあるけどね。癒されたいならこっちかなぁ。

「南瓜が人質」「伯爵と父親の債務」「豚、よォほほほほーいー!」「ガートルードのお相手」「あくなき挑戦者」「伯爵とガールフレンド」「ブテンディングズ城を襲う無法の嵐」「セールスマンの誕生」「伯爵救出作戦」「フレディの航海日記」(特別収録作品)「天翔けるフレッド叔父さん」