ゆうれい読書通信

幻想文学、ミステリ、SFなど

一言感想まとめ

まとまった感想を書くタイミングを逃してしまった本たちの一言感想。面白くなかったわけでは全くなく、むしろ面白かった作品ほど感想書くのに困ることがある… 妖魔の森の家 (創元推理文庫―カー短編全集 (118‐2))読了日:12/6評判の高い表題作は、カーらしい…

ジャック・ルーボー 麗しのオルタンス

麗しのオルタンス (創元推理文庫) 読了日:2/7 平和な街に突如起きた奇妙な連続金物屋襲撃事件と、麗しきヒロインオルタンスと謎の青年の恋の行方…が一応あらすじではあるものの、ストーリーよりもその珍妙な語りを楽しむ小説。事件は起こってるものの解決に…

ロバート・チャールズ・ウィルスン ペルセウス座流星群 (ファインダーズ古書店より)

ペルセウス座流星群 (ファインダーズ古書店より) (創元SF文庫) 読了日:1/10 ひと月前に読んだ本なので早くも記憶がぼんやり…。確か幻想好きにもおすすめのSF短篇集、ということで買ったのだが幻想好きというか怪奇好きにおすすめのSFだった。結構ホラーちっ…

クリスティーナ・メルドラム マッドアップル

マッドアップル (創元推理文庫) 読了日:1/31 母を毒殺し、その後引き取られた伯母の家で伯母といとこにも同じ毒を飲ませ家に火を放ったという疑いをかけられた少女アスラウグ。異様な事件の真相とは。 処女降誕、魔女的な薬草・毒草についての知識、古代の…

ルイジ・ピランデッロ 月を見つけたチャウラ

月を見つけたチャウラ: ピランデッロ短篇集 (光文社古典新訳文庫) 読了日:12/1 「突然訪れる人生の真実の瞬間を、時に苦々しく時にユーモラスに描く短篇集」と紹介されているが、私にとってはかなり苦く、不安をかきたてられる本だった。どれも短い話で幻想…

アントニイ・バークリー 毒入りチョコレート事件

毒入りチョコレート事件【新版】 (創元推理文庫) 読了日:1/20 夫が偶然もらって帰ってきた知人あてのチョコレートを食べた夫人が毒殺された。迷宮入りかと思われたこの事件について、作家兼探偵シェリンガム率いる犯罪研究会の各メンバーはそれぞれの推理を…

ヘレン・マクロイ 幽霊の2/3

幽霊の2/3 (創元推理文庫) 読了日:1/14 出版社社長宅で開かれたパーティで、幽霊の2/3というゲームをしている最中に人気作家が毒殺される。そのパーティに偶然出席していた精神科医が捜査を始めると、殺害された作家の謎が浮かび上がってきた… ヘレン・マク…

ジョナサン・キャロル 死者の書

死者の書 (創元推理文庫) 読了日:1/13 とある児童作家に惚れ込んだ主人公が、その伝記を書くためにその作家が晩年を過ごした田舎町を訪れる。しかしその町はどこかおかしかった…というダークファンタジー。主人公はなかなかにひどいやつだし性描写がやけに…

ショーン・タン 遠い町から来た話

遠い町から来た話 読了日:1/13 絵本というには文章量が多い。絵本と短篇集の中間かな。いつかどこかで見た景色のような、白昼夢のような、ノスタルジーをかきたてる不思議なお話とイラストで構成されている。「エリック」のようにストレートないい話もあれ…

あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます! 毎年、また一年がすぎるのが早くなったと感じるわけですが、読んでいた本を振り返ると一年前が結構昔のことのように思える。津原泰水とか、実質読み始めたのは去年からだったんだなぁ。 例年通りフィクション一辺倒な去年…

ジョン・ダニング 死の蔵書

死の蔵書 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 内容(「BOOK」データベースより) 十セントの古本の山から、数百ドルの値打ちの本を探しだす―そんな腕利きの“古本掘出し屋”が何者かに殺された。捜査に当たった刑事のクリフは、被害者の蔵書に莫大な価値があることを知…

ジェイムズ・サーバー 傍迷惑な人々:サーバー短篇集

傍迷惑な人々: サーバー短編集 (光文社古典新訳文庫) 内容(「BOOK」データベースより) 子どもの頃から不器用で、工作すれば傷だらけ、車は毎度エンストの「なんでも壊す男」。思わずくすりと笑わせるイラストを、作者自ら大真面目に分析する「本棚のうえの…

田中ロミオ 人類は衰退しました2

人類は衰退しました 2 (ガガガ文庫) 内容紹介 わたしをすくう?? スプーンとバナナ。わたしたち人類がゆるやかな衰退を迎えて、はや数世紀。すでに地球は“妖精さん”のものだったりします。そんな妖精さんと人間との間を取り持つのが、国際公務員の "調停官"で…

ボリス・ヴィアン 心臓抜き

心臓抜き (ハヤカワepi文庫) 内容(「BOOK」データベースより) 過去を持たず、空虚な存在として生まれた精神科医ジャックモール。その精神分析は、他者の欲望・願望を吸収して自己を満たすために施される…本書は、軽みとペシミズムが同居するいつもながらの…

マイ・シューヴァル , ペール・ヴァールー 笑う警官

笑う警官 (角川文庫 赤 520-2) 内容紹介 ベトナム反戦デモが荒れた夜、放置された一台のバスに現職刑事八人を含む死体が! 史上初の大量殺人事件に警視庁の殺人課は色めき立つ。アメリカ推理作家クラブ最優秀長編賞受賞の傑作。 読了日:11/8 おもしろかった…

J・G・バラード ヴァーミリオン・サンズ

本・雑誌ヴァーミリオン・サンズ (1980年) (海外SFノヴェルズ) 読了日:11/4 ヴァーミリオン・サンズと呼ばれる砂のリゾート地を舞台にした短篇集。かつては豪奢だったものの今はすたれかけてきたリゾートにただよう虚無感と、鮮やかだがどこか生気のない色…

大阪圭吉 とむらい機関車

とむらい機関車 (創元推理文庫) 内容紹介 名作の誉れ高い表題作を劈頭に、シャーロック・ホームズばりの叡智で謎を解く名探偵青山喬介の全活躍譚など九編に併せて「連続短回顧」ほかのエッセイを収める。初出時の挿絵附。収録作品 とむらい機関車/デパート…

エリス・パーカー・バトラー 通信教育探偵ファイロ・ガッブ

通信教育探偵ファイロ・ガッブ 内容(「BOOK」データベースより) 変装しても気づかれる、尾行をすればなぐられる。それでも僕は、ホームズみたいな名探偵なんだ。ホームズにあこがれ、「日の出探偵事務所」の探偵養成通信教育講座を受けて、立派な迷探偵に…

佐藤亜紀 天使

天使 (文春文庫) 内容(「BOOK」データベースより) 第一次大戦前夜、天賦の“感覚”を持つジェルジュは、オーストリアの諜報活動を指揮する“顧問官”に拾われ、その配下となる。混迷の欧州で繰りひろげられる、“選ばれし者たち”の闘いの結末は!?堕天使たちのサ…

J・G・バラード 永遠へのパスポート

永遠へのパスポート (創元推理文庫 629-7) 読了日:10/22 気だるさと終末感、底の知れない、ある種不気味といってもいい人間心理を静かに描き出すバラードの短篇集。ニューウェーブSFはこの人と山野浩一しか読んだことないので、読むと仕事を辞めてなにかの…

カルロス・フエンテス 誕生日

誕生日 内容(「BOOK」データベースより) 過去でありながら、未来でもある混沌の現在―螺旋状の時間。家であり、町であり、一つの世界である場所―流転する空間。自分自身であり、同時に他の誰もである存在―互換しうる私。目眩めく迷宮の小説。『アウラ』をも…

テッド・チャン あなたの人生の物語

あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF) 内容(「BOOK」データベースより) 地球を訪れたエイリアンとのコンタクトを担当した言語学者ルイーズは、まったく異なる言語を理解するにつれ、驚くべき運命にまきこまれていく…ネビュラ賞を受賞した感動の表題作はじ…

レオ・ペルッツ 夜毎に石の橋の下で

夜毎に石の橋の下で 内容説明 1589年秋、プラハのユダヤ人街を恐るべき疫病が襲った。 墓場に現れた子供の霊は、この病は姦通の罪への神の怒りだと告げる。 これを聞いた高徳のラビは女たちを集め、罪を犯した者は懺悔せよと迫ったが、 名乗り出る者はなかっ…

田中ロミオ 人類は衰退しました 1

人類は衰退しました 1 (ガガガ文庫) 内容(「BOOK」データベースより) わたしたち人類がゆるやかな衰退を迎えて、はや数世紀。すでに地球は“妖精さん”のものだったりします。平均身長10センチで3頭身、高い知能を持ち、お菓子が大好きな妖精さんたち。わた…

オウィディウス 変身物語(上)

オウィディウス 変身物語〈上〉 (岩波文庫) 内容(「BOOK」データベースより) 古代ローマの天成の詩人オウィディウスが、ストーリーテラーとしての手腕を存分に発揮したこの作品には、「ナルキッソスとエコー」など変身を主要モチーフとする物語が大小あわ…

ヴァン・ダイン グリーン家殺人事件

グリーン家殺人事件 (創元推理文庫 103-3) 出版社/著者からの内容紹介 ニューヨークのどまんなかにとり残された前世紀の古邸グリーン家で、二人の娘が射たれるという惨劇がもちあがった。この事件をかわきりに、一家のみな殺しを企てる姿なき殺人者が跳梁す…

日本探偵小説全集10 坂口安吾集

日本探偵小説全集 (10) (創元推理文庫 (400‐10)) 出版社/著者からの内容紹介 戦時中、犯人当てゲームに熱中し、古今東西の探偵小説を読破していた安吾が、満を持して発表した『不連続殺人事件』は、読者に挑戦した堂々たる本格巨編である。さらに結城新十郎…

A.M.エスピノーサ スペイン民話集

スペイン民話集 (岩波文庫)内容(「BOOK」データベースより) スペインの民話は、説話ずきのイスラムの伝承と、新教国がとうに捨て去ってしまった中世の奇跡にまつわる伝承とをよく保存している。デカメロン風の神父と農婦の姦通話、芥川の「蜘蛛の糸」の原…

P.G.ウッドハウス エムズワース卿の受難録

エムズワース卿の受難録 (文春文庫) 内容(「BOOK」データベースより) 綿菓子のようなスローな頭脳を持つエムズワース伯爵の目下の関心は、ブタの飼育と、カボチャの品評会に優勝すること。なのに居城ブランディングズは本日も大騒動。不肖の息子・超頑固な…

コルタサル 遊戯の終わり

遊戯の終わり (岩波文庫)内容(「BOOK」データベースより) 肘掛け椅子に座って小説を読んでいる男が、ナイフを手にした小説中のもう一人の男に背後を襲われる「続いている公園」、意識だけが山椒魚に乗り移ってしまった男の変身譚「山椒魚」など、崩壊する…